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中国の生産現場を訪問して現 場カイゼンの方法を説き、自らカイゼンできる人材を育成する 「カイゼニスト松浦敏彦」。トヨ タ生産方式に基づく豊かな経験 を活かし、今回は一流ホテルや ブランドブティック等の家具を受 注生産するFurniture LABOの 生産現場でカイゼンに取り組む。

●カイゼン活動に終わりはない

カイゼニストの松浦敏彦が上 海富瀾家具有限公司(Furniture LABO)を訪問してカイゼン指導を 行うのは今回が6回目となる。松 浦の直接指導は毎月3日間だけ だが、残りの期間は各製造部門の マネージャーで構成されるカイゼンチームによるカイゼン活動が継続 して行われている。

まずは週2回、カイゼンチーム が現場を回って5S点検を行い、 ルールの徹底や現場カイゼンを実 施している。また、品質改善会議 を毎週開催し、不良の発生状況の確認と原因追究、対策など不良の 低減活動を行っている。さらに、 管理者全員には原価低減方策の提 出が課されている。
カイゼン指導の初日は、こうした日々のカイゼン活動の結果報告 を受け、実際に松浦が現場に足を 運んでカイゼン状況を確認するこ とから始まる。
中国人総経理の匡 璞遠がチームリーダーとして加わってからは、匡の経験が活かされ、 さらにメンバーとの言語の壁がな くなったことで、カイゼンの成果が 加速度的に高まってきたといえる だろう。

松浦も「だいぶ良くなった な」と現場スタッフをねぎらった。 会議室に戻り、松浦はやや険し い表情でメンバーに向かって言っ た。―「確かにカイゼンの成果 が出始めているが、これで満足してはアカンな。カイゼン活動には 終わりがない。会社が存続する限 り永続的にカイゼンをしてステッ プアップしていくことが重要だ」。
松浦は席に着き、さっそく現場で 撮ってきた3 5枚の写真をプロジェクターで映しながら、現状の問題点とカイゼンのポイントを指摘していった。

●FL式プッシュ型かんばんの導入でオンリーワンの工程づくり

董事長の堀雄一朗は、①生産、 運搬指示情報の明確化、②つくり過ぎの抑制や工程の遅れ進みの把 握ができるような見える化の2つ を以前からカイゼンチームに要望 していた。
トヨタ生産方式では、 かんばん方式がそれを実現するツー ルだ。松浦は今回のカイゼン指導 にあたり、同社に適したかんばん 方式を導入するためのテキストを準備していた。

さっそく、松浦はメンバーを前 にして説明を始めた。―「生産方式はプッシュ型生産方式とプル型生産方式の2つがあるが、トヨ タのかんばん方式はプル型だ。し かし、これは御社のようなオーダー メードの受注生産や一品生産では 基本的に成り立たない。
そこで、 独自の松浦式のプッシュ型かんばんを考案した。これは材料を最初 の工程から投入したら最後の出荷 工程まで一気に停滞なくモノを流 す押し込み方式だ。そのために、 各工程の通過時間は詳細な生産計 画で規制していく。各工程の実作 業時間だけをつなぎ合わせた時間 レベルの詳細な生産計画を立て、 その計画通りにモノを流して完成 させなければならない。仕掛かり 発生ポイントであるストアを設定 せず、停滞することなくモノを流 すので、リードタイムが大 変短くなると同時に、仕掛かり在 庫を最少にできる」。 カイゼンチームのメンバーは真剣な 表情で話を聞いている。この内容はこれまでのカイゼン指導のレベルに比 べて明らかにステップアップしている。

松浦はさらに続けた。―「従 来のプッシュ型生産方式との違い はいくつかある。ひとつは最初の 工程にその日に必要な材料しか投 入しないこと。2つ目は電車の時 刻表のように、各工程の通過時間 を設定しそのダイヤに沿って製造 すること。3つ目は生産管理部門 がモノと情報の流れを強力にコン トロールすること。4つ目はムダを 徹底排除して停滞発生要素をなく すことだ。この考え方をベースに して、どのようなかんばんにするか 意見を出し合って決めて欲しい」。
松浦考案のプッシュ型かんばんを Furniture LABO(FL)式に変えていくための検討が始まった。
堀は どのようなかんばんにするか、メンバー と一緒にまとめていく。その結果、 各工程の検査結果も記入する欄を 付けることやバーコードを添付する こと、また部材については【子かん ばん】を発行すること、さらにかん ばんを入れるボックスを設置して生 産進捗を管理できるようにするなど のオリジナルなやり方が決まった。
かんばんは繰り返し使うものなので何かを記入する行為は通常は採用されないが、同社の やり方にあったオリジナルな方法を 模索することが大事だと松浦は考 えていた。そして、このかんばんを ソファの皮張りの工程で試行的に 運用し、問題点をカイゼンしなが ら進めていくことになった。

●方針管理でカイゼンを継続

「来月までに他にやるべきことが ありますか」という堀の質問に松 浦は答えた。―「カイゼン活動 が回り始めたところだ。これから も継続的に推進して欲しい。その ためには、方針管理をすることが重要だ。
企業のトップが目標と実 施項目を掲げ、各マネージャーは それを受けて目標管理する

方針は部下をひとつにする旗印になる。 結果だけでなく、結果に至るプロ セス(仕事のやり方)を重視して欲 しい。収益に直結する挑戦的な値 を設定し、進捗管理はトップによ る月次管理をするのがいいだろう」。

半年間のカイゼン活動を終え、同 社は次のカイゼンステップに向けて 新たな歩みを踏み出すことになった。

  • 上海富瀾家具有限公司(Furniture LABO)
    堀雄一朗氏がフランスの老舗家具メー カーLAVALと資本提携し、上海市嘉定 区で工場とショールームを運営している。 一流ホテルやブランドブティック等の家具 を受注生産しており、従業員は約150人。

  • 松浦敏彦(まつうら・としひこ)
    豊田合成にて製品開発、生産技術開発に従事した後、工場の現場管理を担当し、トヨタ生産方式に基づく管理を実践する。その間、トヨタ生産方式創始者の大野耐一氏から直接指導を受ける。その後、豊田合成の協力企業に転籍し、常務取締役として生産現場カイゼンで成果を上げている。
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過去の「それはアカン!」

●Furniture LABO(その1)

●Furniture LABO(その2)

●Furniture LABO(その3)

●Furniture LABO(その4)

●Furniture LABO(その5)

●Furniture LABO(その6)